『成功する人は缶コーヒーを飲まない』姫野友美・著

「砂糖を摂るな、肉を食え!」
昨今は食事の摂り方や食材について書かれた本がそこそこ増えていて、いろいろな立場の人がさまざまな主張をしています。冒頭の一文が本書の中心的な内容で、心療内科医である姫野友美氏の主張ということになります。
食材について書かれた本で論点として取り上げられやすいものとしては、砂糖、人工甘味料、化学調味料、肉、白米、小麦粉、油、牛乳などがありますが、本書は砂糖および白米、小麦粉などの糖質を中心に論を展開しています。
では、まず恒例の論理構成についてですが、本書はかなりしっかりとした論理構成になっています。状況説明から始まり、問題点の提示、その回答、そして回答を支える根拠の提示という、文章構成の定石ともいえる構成で展開されています。
しかも構成だけでなく、状況説明部分の引きがかなり強いです。引用して紹介してみます。
(引用ここから)
 ビジネスマンは缶コーヒーが大好きである。出勤途中に駅で飲み、仕事中はデスクのパソコンの横に置き、会議中や残業時の眠気覚ましにまた缶コーヒーを買う。
 私が一番気になるのが、朝食抜きで出勤して朝ごはんがわりに缶コーヒーを飲み、「さあ、やるぞ!」と気合を入れたつもりになっている人たちだ。
(引用ここまで)
これだけ読んで「あ、俺のことだ」「これはだめなのか?」と思う読者は少なくないと思います。かなりうまい文章だと言えます。
内容をもうちょっと紹介しますと、砂糖を摂るなという根拠は、砂糖などの精製された糖質を摂ると血糖値が一気に上がり、それを抑えるためにインスリンが多量に分泌され今度は一気に血糖値が下がるという低血糖症を引き起こすからだそうです。また低血糖症はうつ病や集中力の低下の原因となる可能性が高いのだそうです。
肉を食えという根拠は、脳のきれの良さは良質なタンパク質をとっているかどうかが決め手だからだそうです。
肉を食べたほうがいいかどうかについては諸説あります。まったく食べないほうがいいと主張する方もいます。肉ばかり食べろと書いてある本は見たことがないですが、本書では和食+肉、たとえばハンバーグなどが理想的なメニューとして挙げられています。
ということでこの本は、職場でのポジションはそこそこ上がってきたけど20代のようにガツガツ働く気が起きないし、でももう少し給料はアップさせたい。どうしたらいいんだろう。あぁ、でも真剣に考えるのもめんどくさいしまあこのままでいいかな。歳とるといろいろ衰えてくるよね、などという物思いに耽りがちな30代なかばの男性サラリーマンにお勧めします。
2011年5月25日追記******
この書籍に関連した検索で当サイトへ来てくださる方が多数みえますのでちょっと追記します。
「食後にボーッとしてしまってしばらくの間頭が回らない」
そんな症状を抱えている方は、食事の際「G・I値」というものを気にしてメニューを選んでみてください。そしてG・I値の低いものを食べるようにする。それだけで食後のボーッはかなり解消できるはずです。10年くらいかけて自分の体で実験済みです。
G・I値についてはこちら
また砂糖や白飯、食パンなどはいずれもG・I値が高いです。ブドウ糖なんて最強レベルです。頭が疲れたからと言ってブドウ糖をなめなめしていると余計に頭が回らなくなるので要注意です。
意外とG・I値が高いのが人参。なので人参グラッセとじゃがいも、そして大盛りライスという組み合わせには要注意です。
あと食事の間隔が空き過ぎると何を食べても一気に血糖値が上がってインスリンが急激に分泌され低血糖状態になります。適度な間隔で食べるというのも心がけてみてください。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加