『いつも三日坊主のあなたが続ける人になる50の方法』佐々木正悟・著

こんにちは。立川の経営コンサルタント、久米です。
ビジネス書の中でもビジネスエッセイと言われるジャンルの本があります。第一線で活躍するビジネスマンが自分流の仕事術を披露したり、脳科学者なる人たちが効果的な勉強法を紹介したりしているアレです。
そんなビジネスエッセイの売れ行きを劇的に低下させる可能性を秘めたビジネス書があると言ったら驚くでしょうか。今回紹介する『いつも三日坊主のあなたが続ける人になる50の方法』はまさにそんな本なんです。
この本は、やろうと決めたことを継続するにはどうしたらいいか、その方法をひたすら述べた本です。論理構成は明快で、「○○するのが重要である」で始まり、どうしてそれが重要だと言えるのか、どうやってそれをやるのかが述べてあります。文体も平易で読みやすいです。
具体的な方法として、ゴールを明確にする、ふたつのことを同時にしない、脱線を未然に防ぐなどが挙げられておりどれも素直になるほどなぁと思える内容です。
中でももっとも重要だと感じたのが、9番目の方法として挙げられている「仕組み作りを一気に済ませ、後は考えずに動く」というものです。
それではこの本がなぜビジネスエッセイの売上を下げるかもしれないのか、という点について述べていきたいと思います。
ほとんどのビジネスエッセイは過去に紹介され尽くされたテーマを書き直しているだけであって、読者がいい具合に内容を忘れてくれないことには同じテーマでまた売れるなどありえません。
たとえばビジネスエッセイを読むとたいてい1冊に2~3個は「あ、これいいな。やってみようか」というテクニックが見つかると思います。(1つもないものもありますが……)。しかしそのテクニックを3ヶ月も続けてやってみたという人がいったいどれくらいいるでしょう。ほとんどいないと思います。ひょっとすると内容すら覚えていないという状態かもしれません。
何故そうなるかというと大抵の場合「いいな、やってみよう」と思ったテクニックについて、それを継続するための計画、この本で言うところの仕組み作りをしていないからなんです。
この本が提唱する方法は、もっともモチベーションが高い瞬間、つまり何かをやろうと決めた直後に、一体どういう方法でそれをやり続けていくのかを考え尽くし、あとは余計なことは考えずひたすら実行するという方法です。「やる気」というあやふやなものに頼ることをはっきりと否定しています。
この本を読んだ読者が継続する方法をきっちりと身につけてしまったとしたら、もう焼き直し系のビジネスエッセイはほとんど売れなくなってしまうことでしょう。
ということでこの本は次のような人にお勧めします。
ビジネスエッセイ、特に「○○な勉強法」といった類の本をよく読むんだけれどいつも本の後半になってくると読み疲れてきて読破どころか、その後に勉強だなんて一度もしたことがないという、ビール大好きな二人子持ちの30代前半サラリーマンです。……あ、私ではないです。

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