”Amazonコンテンツが好き”であればKindle fire HDは買い

先日Kindle fire HDが日本で発売されました。安くてハードウェアのスペックが高いAndroidタブレットとの前評判で注目が集まっており、世間一般的にはグーグルが先に発売しているNexus7が比較対象とされています。

ということで筆者は早速両方購入し、その実力のほどを比較してみました。

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結論からいうと”Amazonコンテンツが好き”であればKindle fire HDは買いです。

Kindle fire HDとNexus7をハードウェア面で比較することは意味がありません。Amazon自体が「世界で最も売れているAndroidタブレットの後継機種」とホームページで謳ってたから比較してしまうのは仕方ないのですが、2012年12月20日時点では「世界で最も売れている7インチタブレットの後継機種」へと表記が変更されていました。

Kindle fire HDは、AndroidをベースとしてはいるがあくまでAmazonコンテンツを楽しむための機器であって、Nexus7のようにグーグルの提供する様々なサービスを利用する機器ではないのです。

ですからKindle fire HDを買うかどうか判断するには他の機器との比較ではなく、自分が楽しみたいコンテンツがAmazonに揃っているかどうかで判断することが重要になります。

現在Amazonで提供されているコンテンツは、書籍、音楽、アプリ、この3つです。

書籍は数はまだまだこれからというところですが世界最大規模の書籍マーケットであるAmazonのことですからこれから急速に増えていくことが予想できます。

音楽配信は日本では11月に始まったばかりで、ラインナップは洋楽中心。購入画面で楽曲の分類が細かくされておらず、アーティスト指定買い以外の買い方が非常にやりづらいです。また本来ならばAmazonが提供するオンラインストレージに自分がiTunesなどで購入済みの楽曲をアップすることで、Kindle fire HDでもその楽曲を楽しめるようになるサービスがあるのですが、日本では著作権法の関係でこのサービスが利用できません。これがネックです(回避する方法はありますが。別記事で配信予定)。

アプリはグーグルのPlayストアで配信されているアプリは一切使用できず、Kindle fire専用に提供されたアプリと勝手サイトでダウンロードできるAndroidアプリのみが使用できます。結果としてPlayストアと全く同じアプリが配信されている場合もありますが、Kindle fireをふつうのAndroidタブレットとして使用することを促すようなアプリは意図的に除外されている印象を受けます。

そして重要なコンテンツが映画です。映画の配信は日本のAmazonではまったく提供されていないため利用することができません。映画という超巨大コンテンツをまるまる利用できないのは大きいです。本国アメリカのAmazonでは年間6,500円ほどで映画見放題のサービスが提供されています。おそらく日本でも近いうち始まると思われますが、現時点でアナウンス等は一切されていません。ただ映画が全く見られないのかというとそんなことはなく、TSUTAYAオンラインなどのアプリを使ってみることができます。

以上、コンテンツ面で考慮してもKindle fire HDはまだまだ感の強い機器です。しかしそれでも筆者はKindle fire HDの購入を勧めたいと思います。

なぜかというと、それは書籍に関して「この商品を買った人はこんな商品も買っています」の表示が超高速で目立つ場所に表示されるので、今読んでいるものと関連した本に簡単にアクセスできるからです。そしてその場でサンプルをよみ、気に入れば購入することができます。しかも自宅のソファーで!寝転びながら!

もちろんAndroid向けに提供されているKindleアプリでも似たようなことはできなくもないのですが、ふた手間ほど余分に掛かります。このふた手間はとても大きいです。また戦略上、このふた手間をAmazonが改良してくることはないでしょう。

というわけでまとめますと、Kindle fire HDはコンテンツはまだまだだけれど書籍の購入体験が素晴らしいので”買い”だということになります。

最後に主にハードウェア的な面でみなさんが気になりそうなところを記述しておきます。

全体的な質感はNexus7より高いです。Nexus7は背面や外枠の素材の兼ね合いで中身スカスカ感がありましたが、Kindle fire HDは中身がぎっちり詰まっている感じがして、いい買い物をしたと思わせるものがあります。

液晶は綺麗です。ppi(ドットの細かさ)はNexus7と同じですがガラスにフィルターやら何やら加工が施してあるようでどの角度から見ても見やすいです。Nexus7はガラスに埋め込まれたタッチセンサーがうっすらと見えていて綺麗とはいえません。また私が買ったNexus7には今どきドット欠けが数個も(!)あり、ネットで調べるとドット欠けを指摘している人が少なからずいました。Kindle fire HDの液晶は白色が黄色がかっていて気になりますが、この点を除けば綺麗な液晶といえます。

スピーカーの音質はタブレットにしては最高レベルです。ドルビーサラウンド効果で立体感は強く感じられます。とはいってもタブレットに内蔵できるような大きさでズシンと響く低音域やら豊かな中音域は望むべくもありません。いい音で聞きたい人はヘッドフォンを差すか、HDMI出力で自宅のオーディオシステムにつなぐのがよいでしょう。

HDMI出力機能ですが、ケーブルを買ってきて自宅のテレビに差し込めばKindle fire HDの画面がそのままテレビに表示されます。Kindle fire HDとテレビ、両方が表示された状態になります。今後、映画配信が始まったら重要な機能になるでしょう。Nexus7にはHDMI出力機能はありません。

最後にPlayストアについて。Playストアからは一切のアプリをダウンロードできません。またグーグル製のアプリがAmazonで配信されることもないと思います。つまりchromeやYoutube、Gmail、マップアプリなどは使えないと言うことです。こういった機能を存分に使いたい方はNexus7の購入をお勧めします。

以上、Kindle fire HDの購入を検討している方は参考にしてみて下さい。

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